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LIGHT & DISHES Lab. ラボディナー会 Vol.3 〈レポート〉

12月12日(火)に〈LIGHT & DISHES Lab. ラボ・ディナー会 Vol.3〉を開催しました。この事業では、月に1度さまざまな分野で活躍するゲストスピーカーを迎え、共に食卓を囲みながらそれぞれの世界観を学び合う会です。今回のテーマは「グローバルな視点で捉える日本発のインテリアビジネス」。ゲストに、株式会社マルニグローバルブランディング代表の神田宗俊(こうだむねとし)さんをお迎えいたしました。

日本の”モノづくり”をビジネスとして海外に展開する

住友商事のインテリア商材に特化した子会社、住商インテリアインターナショナルで輸入商材に携わっていた時代、「日本はものづくり大国だと自称していることが多いが、実際にはEU諸国の市場で対等に戦えるブランドが全くない」と疑問に感じていた神田さん。そこには、家具メーカーに共通するある要因があったといいます。それは、[1]デザイン力の弱さ、[2]海外市場を意識できていない価格設定、[3]ブランディングが出来ていないこと。
そんな頃、深澤直人さんがデザインしたマルニ木工のHIROSHIMAアームチェアに出会います。この出会いが、その後の神田さんを変えるきっかけとなります。「この椅子ならば、日本が数十年ぶりに名作椅子として世界へ送り届けることができるプロダクトになるのではないか。適切なノウハウを持つ誰かが、この椅子を世界に飛翔させなくてはいけない。」と、自身の役割を見出し、2009年マルニ木工に入社。海外向け市場を拡大していき、2016年には米アップルの本社屋に数千脚のHIROSHIMAを納入するという大きな実績に至ります。しかし、その後も【EU諸国の市場で対等に戦えるブランド】が目立って続くことは無かったと振り返り、神田さんは次のミッションを自身に課していきます。

アライアンスビジネスで日本のモノづくりを世界に伝える

マルニ木工の海外事業を強化すべく、2018年にはマルニグローバルブランディング(以下MGB)を立ち上げ、代表となった神田さん。「日本のモノづくりをブランド力のあるものとして、ボトムアップするためのお手伝いをしたい」という志のもと、全く新しいブランドの構想を温めていきます。
その構想とは、マルニ木工以外の様々な工場特性を持つ家具メーカー数社とアライアンスを組んで協働で家具を開発し、MGBがブランディングや輸出をサポートするというもの。従来の営業スタイルが出来なくなったコロナ禍を念入りな準備期間として始動した新たなプロジェクトです。2022年にミラノデザインウィークで「KOYORI」として正式にローンチしました。
これが海外を皮切りに、やがて日本でも大きな反響と注目を集めました。「KOYORIのアライアンスメーカーとフラットな関係を保つために、海外と国内ではビジネススキームを分け、OEMビジネスにしないことが必須条件でした。」と神田さんはいいます。【日本のデザイン・インテリアに関わるあらゆるモノづくりを、事業として成立するかたちで世界へ飛翔させる】がMGBの経営理念にあり、まさに神田さんが描いていた未来が具体的に動き始めました。「今後は家具だけではなく、ライフスタイル製品なども展開していきたい」と語ります。

株式会社マルニグローバルブランディング
KOYORI

編集後記

0から始まったプロジェクトは、神田さんのこれまでのご経験や、線密な計画があって生まれたものでした。パズルのピースが埋まっていくように、商社で培われた貿易やマーケティングのノウハウ、チャンスを生かすことができる力があるからこそ、そのスキルをメーカーに対しても現在まで活かしてこられたのだと痛切に感じました。いくら精度の高い製品が作れても、そのものづくりが伝わらないと意味がなく、その重要な役割を担う神田さんがされているような活動から、今後の日本のメーカーのあり方が変わっていくことが大きな希望であるように感じました。(LIGHT & DISHES / 吉原千晶)

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